「消費税の逆進性」とは何かについて、知っておきましょう

参議院議員選挙が公示されました。7月21日に投開票が行われることになります。

主な争点は憲法改正や社会保障等とされますが、消費税率引上げを目前に控えていますので、消費税についても注目されるでしょう。

さて、その消費税については、「逆進性」があるため不公平な租税である、と言われることがあります。

この「逆進性」とは、どのような性質なのでしょうか。

 

例えば、食料品への支出は生活をする上で必須であるといえます。

年収400万円の人が年間80万円の食料品への支出をした場合、消費税率が8%とすれば、消費税は80万円×8%=6.4万円です。

この場合、消費税が年収に占める割合は1.6%になります。

一方で、年収1,200万円の人を考えてみます。シンプルに比較をするために、先ほどの例と同様に年間80万円の食料品の支出をしたと仮定します。消費税額も先ほどと同額で、6.4万円です。

そして、この場合の消費税が年収に占める割合は、約0.53%になります。

この、収入(≒所得とします)が高い人ほど消費税率の負担割合が下がるという現象が、消費税の「逆進性」と言われます。

 

「年収が高い人はもっと消費をするのだから、その分消費税負担も増えるのではないか」という指摘もあるでしょう。

ただ、それは「質的に高い・量的に多い」消費をすることを指すでしょうから、その分だけ経済学的にいう「効用」が相対的に高いことになります。

従って、税負担割合を論ずる場合は、同一の消費水準で検討することが必要でしょう。

 

さて、この逆進性を緩和するために導入されるのが、消費税の軽減税率制度です。

しかしながら、この軽減税率制度は中小企業・小規模事業者の事務負担を増加させること、高所得者ほど軽減税率の恩恵を受けることが可能であり逆進性緩和の効果が薄い(高所得者は高い効用がある支出をするが、その分も税率軽減の効果を受けることができる)ことを主な理由として、反対の意見も根強いものです。

みなさんはどのようにお考えでしょうか。