共同経営にはご用心<支配権確保の重要性>

特に法人形態で企業する際に、何人かで共同出資するケースがあります。

例えば、AさんとBさんの2名で資本金(出資金)を出しあって、会社を設立するような場合ですね。

このような場合、どちらが経営の主導権を握るかを最初から明確にしておくべきです。

最も避けたいのは、出資比率を50:50にしてしまうようなケースでしょう。1人では何も決められなくなります。

 

「自分たちはお互いに信頼しあっているから、何事も話し合って決める。だからフラットな出資比率の共同経営でも問題ない。」

とお考えの方も少なくないようです。

 

しかしながら、私の経験上では、起業当時はそれで問題がないものの、その後数年経った頃にもめるケースが多く感じています。

そして、起業から時間が経過してからでは、会社に留保利益が蓄積され株価が上昇し、株式の譲渡等をスムーズに行うことができなくなる可能性があります。

共同経営の関係を解消するために相手方から株式を譲渡によって取得しようとしたら、株価が高くなってしまい思わぬ出費になってしまった、という問題が起こるということです。

それでも、相手方が株式の譲渡に対して合意をしてくれればまだ良いほうで、これに合意をしてくれない場合は、経営の意思決定スピードが鈍化する等、非常に面倒なことになるでしょう。

 

これを防ぐためには、繰り返しになりますが、起業の当時から経営のリーダーシップを握る人を決めておき、その人に出資割合を集中させることです。

最低でも議決権の過半数を握る、できれば株主総会特別決議を単独で成立させることができる議決権3分の2以上を抑える、といった形が必要でしょう。前回の記事に書いたような少数株主権をも排除する場合は、100%の議決権を握っておくという方法も考えられます。




少数株主も会社の帳簿を見ることができる?<帳簿閲覧権とは>

 

起業時だからこそ、将来にわたり経営のイニシアチブをどのように確保するかを考える。事業の安定的な発展のためには、欠かせない視点といえるでしょう。

 

※この記事は、2019年7月1日現在の法令に拠っています。個別具体的な事案につきましては、顧問専門家等にご相談ください。