漢方薬の購入費は医療費控除の対象外とされた事例(公表裁決事例)

所得税の確定申告時期が近づいてきました。

 

確定申告で医療費控除の適用を受ける方も少なくないと思いますが、これに関する国税不服審判所の裁決が公表されましたので、ここで紹介をします。

事案は、納税者が漢方薬の購入費用を医療費控除に含めて確定申告したところ、課税庁によってこれが否認され、争いとなったというものです。

審判所では、課税庁の主張を容認、つまりこの事案での漢方薬の購入費用は医療費控除の対象とはならないと示しました。

内容を見ると、この事案の対象となった漢方等は、大きく次の①・②といった二つに区分されています。

 

① 薬機法に規定された厚生労働大臣の承認を受けていない「健康補助食品」

② 薬機法に規定された第2類・第3類医薬品に該当

 

審判所によれば、①は所得税法等に規定する「医薬品」に該当しないこととされ、医療費控除の対象とはならないとされています。

さらに②については、医師や薬剤師の答述等を基礎に「治療又は療養に必要な医薬品の購入といえるか」という点から検討を加えて、漢方の購入が医師の処方によるものではないこと等の事情から、「治療又は療養に必要な」医薬品の購入であったとはいえないと結論づけ、医療費控除の対象とはならないと判断されました。

 

 

国税不服審判所:令和元年5月22日裁決

http://www.kfs.go.jp/service/JP/115/08/index.html