新型コロナウイルスの影響による役員報酬(定期同額給与)の減額改定について(国税庁FAQ更新)

業績悪化に伴う役員報酬(定期同額給与)の減額改定については、税務上は一定の制約があります。

新型コロナウイルスの影響による業績悪化と、これに伴う役員報酬の減額については、これまでは取扱いが明示されていませんでしたが、国税庁FAQ(「国税における新型コロナウイルス感染症拡大防止への対応と申告や納税などの当面の税務上の取扱いに関するFAQ)が令和2年4月13日に更新されており、この取扱いについて掲載されました

 

FAQへのリンクはこちらです→https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/kansensho/pdf/faq.pdf

 

役員給与の減額改定に関する部分は、以下の通りです(以下FAQよりそのまま転載・赤字部分)。

問6 《業績が悪化した場合に行う役員給与の減額》 〔4月 13 日追加〕

当社は、各種イベントの開催を請け負う事業を行っていますが、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止の観点から、イベント等の開催中止の要請があったことで、今後、数か月間先まで開催を予定していた全てのイベントがキャンセルとなりました。
その結果、予定していた収入が無くなり、毎月の家賃や従業員の給与等の支払いも困難な状況であることから、当社では、役員給与の減額を行うこととしました。
法人税の取扱いでは、年度の中途で役員給与を減額した場合、定期同額給与に該当せず、損金算入が認められないケースもあると聞いています。
そこで、当社のような事情によって役員給与を減額した場合、その役員給与は定期同額給与に該当するでしょうか。

〇 貴社が行う役員給与の減額改定については、業績悪化改定事由による改定に該当するものと考えられます。
したがって、改定前に定額で支給していた役員給与と改定後に定額で支給する役員給与は、それぞれ定期同額給与に該当し、損金算入することになります。

〇 法人税の取扱いにおける「業績悪化改定事由」とは、経営状況が著しく悪化したことなどやむを得ず役員給与を減額せざるを得ない事情があることをいいますので、貴社のように、業績等が急激に悪化して家賃や給与等の支払いが困難となり、取引銀行や株主との関係からもやむを得ず役員給与を減額しなければならない状況にある場合は、この業績悪化改定事由に該当することになります。

「取引銀行や株主との関係からもやむを得ず」の文言が引っかかりますが(融資取引なく、代表者1人の一人会社である場合はどうなのか)、当然の措置といえ、FAQに明示されたことは大きいですね。

役員給与の減額と生活支援臨時給付金(総務省:https://www.soumu.go.jp/menu_seisaku/gyoumukanri_sonota/covid-19/kyufukin.html#gaiyo)との関係も気になるところです。

ただ、事情はそれぞれ異なるでしょうから、これを一律に適用することはせず、個別具体的に検討する必要がありますので、気をつけてください。

 

※以上の情報は、令和2年4月13日現在のものです。実際に期限延長の取扱いを適用する場合には、必ず顧問税理士か所轄税務署へご相談・ご確認ください。